「消防士からは、私が彼女の家に強盗に入って彼女を殺害したんじゃないのかってことを言われて責められたわ」── 親友の望んだ人生の終わらせ方に協力したアメリカ人女性によるAMA(なんでも聞いて)。 

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photo credit: goodbye via photopin (license)

元スレ:IAMA person that helped my (then) terminally ill best friend die via physician assisted suicide earlier this year. AMA.(2012/10/21)

(OP)
私の友達は末期の脳腫瘍で、医師の幇助のもとに自殺することを選んだ。私はワシントン州 ── アメリカでこのプロセスを法的に認めている3州のひとつ ── に住んでいて、彼女は私の家のリビングで亡くなった。一緒に『ショーン・オブ・ザ・デッド』を見ているあいだに。
彼女の死後あまり多くを語らずにいたわ。AMA(なんでも聞いて)。

(mod/r/IAmA管理人))
証明確認済。 

Q. どうして『ショーン・オブ・ザ・デッド』?(あの映画が素晴らしいってことは抜きにして) 

A. 私たちがあの映画を初めて見たのは、私が恋人とのひどい別れを経験して、彼女が慰めてくれていたときだった。一緒に笑い転げたわ。
そしてあの最期の日、彼女がうちに来てあの映画を選んだ。脳腫瘍のせいで、最後の数ヶ月間は話すこともとても難しい状態だった。でも彼女の望みが私にははっきりわかった。彼女は幸せだった時間を私たちに思い出させるものを望んでいたの。:) 

 └・もう君はあの映画を涙無くして見ることはできないだろうね。 

  └(OP) 試してすらいない。このあいだ娘が棚からひっぱりだしてきて、「この映画もうずっと見てないね」って言った。ただ「えぇ、そうね」みたいに答えたわ。 

 └・おい、こんな時間にどこのどいつがタマネギ刻んでやがんだ!!!!(泣) 

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Q. 友人の死には君ひとりで立ち会ったのかい?彼女に家族はいた? 

A. 私は結婚していて、13歳の娘がいる。だから夫に父娘で1日中外で遊んできてと頼んでおいた。娘は彼女の死を知ってる。でも詳しいことや、その場所が我が家だったことは知らない。 
彼女の死に立ち会ったのは、私ともう1人の親友。それから「尊厳死(訳注)」プログラムを通じて家族をサポートする非営利団体「Compassion and Choices」のソーシャルワーカー1人。 
友だちには国外に住む家族がいたわ。敬虔なカトリック教徒の。彼女は家族に知らせることを望まなかった。離婚していて、息子も1人いた。彼も死の詳細については知らない。もし知りたがったら教えるように遺言されたわ。 

(訳注:日本における「尊厳死」とは、延命措置を拒否し自然に迎える死を指すようですが、アメリカにおける「尊厳死(Death with Dignity)」とは、致死量の薬物投与で積極的に迎える死を指しています。この記事中の「尊厳死」は後者の意味です)

Q. 幇助自殺って病院でやるんだとばかり思ってたよ。友だちの家でできたなんて素晴らしいね。 

A. 実は病院で行うのは違法よ。100回中99回はホスピス(終末期ケアを行う施設)で行われると聞いたわ(「Compassion and Choices」のソーシャルワーカーから)。病院のスタッフは参加していなかったし、参加することが合法なのかすらわからない。ちょっと分かりにくいプロセスね。

Q. 亡くなった友だちとのつきあいはどれぐらいだった? 

A. 彼女が脳腫瘍と診断されたとき、友だちになってから6年が過ぎていた。彼女が亡くなるまでなら11年。
今この瞬間まで気づかなかった。私たちが友だちでいた期間の半分は、彼女が癌に侵されていたなんて。あぁ。 

Q. 友だちが幇助自殺を決意する前に、その問題について彼女と話し合った?それとも君に話したときには彼女の心は決まっていた?

A. 当時彼女は頻繁にてんかん発作に襲われるようになっていた。私たちは緊急救命室に何度も足を運んだわ。てんかん発作の数週間後、彼女は私にメールを送ってきた。主治医と「選択肢を話し合う」ために、次のアポイントメントに同席してほしいと書かれていた。
医師は一緒に座って、これは彼女が選んだ道だと私に説明した。だから、えぇ、彼女は決意していた。その道へ進みたいと思ったときに、はっきりと自覚していなかっただけ。
その3ヶ月後に彼女は致死薬を手に入れて、数週間後にそれを飲んだ。

Q. 友だちと死や死後の世界について話したことはあった? 

A. 彼女は元カトリック教徒で、すべての宗教的信仰をいっさい捨てていた。
死を楽しみにしてはいなかった。でも死を恐れたり、死後に何があるのか不安に思っているようにも見えなかった。 

Q. 幇助自殺が許されるには、ある程度まで病状が悪化していないといけない?それとも死ぬしかない病気なら、好きな時に死を選択できる?

A. 素晴らしい質問ね。 
えぇ、ワシントン州においては以下の条件が課せられる: 
 1. 末期、余命半年以下と診断されていること
 2. 主治医に志願者となることを口頭で伝えること 
 3. 別の医師に志願者となることを文章で伝えること 
 4. 精神鑑定をパスすること 
 5. 証人2名の承認を得ること(必ず1人は家族以外であること) 
 6. 致死薬を自分で摂取すること 

 └・精神鑑定必須って馬鹿げてないか?他の5つが満たされてればいいじゃないか。 

  └(OP) 言いたいことはわかるわ。皮肉にも、精神鑑定はうつ病の人や自殺志願者(ハ!)を退けるためにあるの。 

Q. そんなにめんどくさいのに、なんで合法的に死のうとするんだろう? 

A. とても難しい質問ね。 
たしかオレゴン州は1994年から幇助自殺を合法化してるし、私の友だちが通り抜けたプロセスほど難しくはないはず。ここワシントン州ではずっと後にできた法律だから、調整されるべき細かい点がオレゴン州よりたくさんあるの。 
結局のところ、みんなが正規のルートを歩みたいと願ってるのは、効果が確認され証明された致死量の薬を飲むやり方のほうが、恐怖がずっと少ないからだと思う。薬をひと瓶飲んでウォッカで酔い潰れることを考えたら、吐いてしまう可能性がはるかに高いし、他のもっと手荒いやり方は、えぇと……もっとずっと手荒いわ。
それに医師が参加するものとは対照的な「自殺」には、社会的烙印も伴ってる。おそらくプロが監視していることで、愛する人たちの心は楽になるんだと思う。わからないけど。私がそう思うだけ。

Q. 薬を持っていて、いつでも準備ができたら飲めるってこと?

A. 一度すべての基準をクリアした患者は、えぇ、薬を手に入れていつ飲むかは好きに選べる。統計学的に言って、45~50%の患者はすべてのプロセスを通過して薬を手に入れた後、決してそれを飲むことはないと聞いたわ。たぶん彼らにとっては、飲もうと思ったら飲めるという単なるセーフティネットなのだと思う。一部の患者は薬を飲まずに亡くなるの。

 └・人に飲ませたら殺害できる薬の配布が許されてるなんて驚きだよ。

  └(OP) 実際には90錠のカプセル。開けて4オンス(約118ml)の液体に溶かさなければいけない。うっかり飲んで死ぬのはかなり難しい ── とても気の長い行為よ。

Q. もし本人が自分で薬を飲めない状態だったらどうするか知ってる?

A. 誰かに飲ませてもらうのは違法。だからそんなことをしたら罪に問われるんじゃないかと思う。
もしこの方法で死ぬことを望んでも、自分でできなければ、不幸なことに許可されない。少なくともここワシントン州では。オレゴン州も同じだと思う。

Q. 薬を飲むときの彼女はくつろいでいた様子だった?

A. とてもくつろいで見えた。薬がものすごく不味いって言ったこと以外は。実は彼女は薬を飲む前にミラクルフルーツを食べていたの。だからなんでも甘く感じるはずだった。けどそれでもひどい味だと言ってたわ。とは言え、見事に飲んで見せたけど。  

Q. 彼女が息を引き取るまでどのくらいあった? 

A. 薬を飲んだ後、彼女が目を開けていられたのは9分間。普通じゃないって言われた。ほとんどの人はたったの1、2分で目を閉じる。彼女は昏睡状態に陥っても、その後40分ぐらいは呼吸を続けて心臓も鼓動し続けていたわ(とても、とても弱かったにしても)。 

Q. 友だちの最後の言葉は?

A. 患者は致死量のセコバルビタールを飲む前に、それを吐かないよう吐き気止めの薬を与えられる。
彼女が薬を飲んで数分後、吐き気がするかどうか尋ねたの。彼女の最後の言葉は、「No」だった。

Q. 彼女がこの世を去ったことを知った後、最初に君がしたことはなに? 

A. ワインをたくさん飲んだ後、本当に辛い電話をかけた。

Q. 友人の死後、遺体を連れ出してくれる非常医療班がいたの?それとも誰かに連絡した?

A. 一番はじめに彼女の主治医に連絡した。彼はすぐに折り返し電話してきて、検死官の電話番号を教えてくれた。検死官に電話したら、911(アメリカでの救急・消防・警察の緊急連絡先)に電話して、ワシントン州尊厳死法に基づく「予期された死」と報告するように言われた。
その後消防車2台、パトカー2台が私の家にけたたましい音を立てながら現れた。消防士6人と警察官2人が入ってきて、消防士が彼女の鼓動を感じて除細動器(たぶん)を使って彼女を蘇生しようとした。私たちは彼女が尊厳死法に従って致死量のセコバルビタールを自己投与したんだと言ったけれど、彼らは自分たちは「犠牲者」を生き返らせるためにここにいるのだと主張した。それ以外に消防隊にいる理由はないと。
私たちがこれは合法で、彼女は生き返ることをまったく望んでいないと言い返したら、事態はヒートアップしたわ。医療委任状を提示して、私には彼女を代弁する権利があると言うと、消防士のリーダーはPOLST(延命治療に関する医師の医療指示書)がなければそんなものは役立たずの紙切れだと言った。私は友だちにPOLSTのコピーを常に持ち歩くように頼んでいたけれど、彼女のバッグを探ったらそこに入っていなかった。事前にチェックしていなかったのはおそらく私のミスね。
最終的に消防士たちは屈して、荷物をまとめて謝罪して去った。たぶん1時間は言い争っていたと思う。途中、私が彼女の家に強盗に入って彼女を殺害したんじゃないのかってことを言われて責められたわ。彼はそれを仮定的に言っていたけど、ちょっと頭がおかしくなった。
警察は葬儀場が彼女を迎えに来るのを待っている間残っていた。そのとき彼女の電話がなった。かけてきたのは彼女の母親だった。私は電話に出て友だちが亡くなったことを伝えられず、電話は留守番電話になった。警官の1人が彼女の母親に電話して知らせたいか聞いてきたから、私は「YES」と答えた。
ようやく葬儀場の車が家に現れて、彼女を連れて行った。彼女の死からミニバン(葬儀馬車でなく)がやってきて警官が去るまで、4時間が経っていた。
その後夫に電話して、娘を家に連れ帰っても大丈夫と伝えたわ。
そして友人たちにたくさんの電話をかけた。
それから大量にお酒を飲んだ。
 
Q. 安楽死に立ち会ったことで、なにかネガティブなコメントされることある?

A. たいていは人の優しさと応援に感動させられてる。非難するコメントをしたのは私のキリスト教徒の両親だけ。2人は友だちが亡くなる前に、キリストの教えを彼女に伝えるよう懇願したわ。とてもはっきりと、彼女のすることは「許されない」と言った。それでも私のことを誇りに思うと言ってくれたけど。
友人の母親は疑って、翌日に電話で不意打ちの攻撃をしてきた。娘に天国で会えると言ってと懇願してきたの。もし自分で死を選んだなら、絶対に会えないからと。あれは正直、一連の出来事の中でもっとも辛い瞬間だった。彼女に正直に答えるか、それとも嘘で救うかという良心のジレンマで。
 
 └・嘘をついた?

  └(OP) えぇ。 

Q. 君は彼女の母親が「機会」を逃したことを不当だと感じてる?

A. ある点においては、そうね、不当だと感じてる。彼女の母親は娘を愛していたし、母親だもの。なんてこと!
でも彼女が絶対に娘の選択を受け入れないだろうこともわかっていたし、母親を除外した友人の選択を尊重した。どんなに気まずく感じていたとしても。

Q. 尊厳死のプロセスに興味がある人たちには、『How to Die in Oregon』を見ることを強くお勧めするよ。本当に素晴らしいドキュメンタリーだった。幇助自殺を選択した人たちを追ったものだ。あの映画で本当に心に残っているのは、その時が来たときの、彼らの覚悟のできた姿だ。病院で衰弱していかなきゃいけない死よりも、ずっと穏やかに見えた。それに友人や家族に囲まれて逝ける事実は、僕的には、永遠の別れというより素敵な解放に思えた。
友人の痛みからの解放に立ち会ったことはとても辛かっただろうと思う。でも君は立派なことをしたと思うよ。

A. 私も友人の死後、数週間経ってからあの映画を見た。たしかにとても感動的だった。それに医師の協力下での自殺についてどう思うかわからない人たちに、あの映画を見ることを強くお勧めする。
そう言ってくれて、本当にありがとう。   

Q. 医師による幇助自殺のプロセスを経験してどう思った?全米で合法化されるべきものだと思う?

A. 絶対に誰にとっても合法であるべきだと強く思ってる。
彼女が通らなければいけなかったプロセスは長ったらしくてストレスのたまるものだと思ったし、彼女が亡くなった後に消防士たちと不愉快なことになって、極めて興味深かったけれど。
私は医師による幇助自殺が合法な州に住んでいることをとても幸せに思ってる。でも整備されるべき明確な欠陥が幾つかあることも事実。

Q. もし君が彼女の立場だったら、同じ選択をしたと思う? 

A. 正直言ってわからない。それを選択できる州に住んでいることでいくらかの安心は感じてる。でもやるかどうかはわからない。彼女が人生を終わらせる薬を飲むのを見たのは、私にとって本当に「なんてこと!」って経験だった。彼女は信じられないぐらい強くて勇敢で、自分が女々しく思えた。でも正直言って、彼女が脳腫瘍と診断された日から、私なら絶対に彼女みたいに潔く振舞えないと思っていたわ。
難しい質問ね。まだ回答できてないのはわかってる。でもその理由は、正直言って実際に彼女の立場になってみない限り、私がどうするか見当もつかないからよ。 

Q. もしもう一度やらなければやらないとしたら、やる? 

A. えぇ。なにも後悔はしてない。愛する人があんなにも劇的に病に侵されていく姿を見なければいけなかったこと以外は。彼女の死そのものはとても安らかなものだった。死は彼女が望んだことで、もし私がやらなければいけないとしたら、答えは「YES」。でも二度とやらなくて済むことを願ってる。 




1日本でもいつか安楽死が合法化される日はくるのでしょうか。
自分がそういう状況になったときのことを考えたら、個人的には選択肢が増えるのはありがたいことだと思います。

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