検死解剖された遺体がいつも私の一番のお気に入り」── 遺体の外見を修復したり、腐敗を遅らせる保存処理を施したりする専門家・エンバーマーの女性によるAMA(なんでも聞いて)!
※グロい描写が多々ありますので、苦手な方はご注意ください。画像はありません。

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photo credit: ashley rose, my great aunt audrey. via photopin (license)


元スレ:IAmA Licensed Funeral Director/ Embalmer. AMA! (2013/06/08)


(OP)
私は資格を持った葬儀ディレクター兼エンバーマー。
23歳、女、ニューヨーク州の資格有! 

証明はmodたちに提出済。
(訳注:/r/IAmAでスレッドを立てる際には、たしかにそのAMAを行う資格があることの証明が求められていますが、個人情報等全体に公開したくない場合は、mod(/r/IAmA管理人)に証明を提出すれば認められることになっています) 



Q. 死体の顔はニヤけたままで固まるって本当?もしそうなら、どうやって直す?

A. ううん。恐ろしいしかめっ面で固まる人たちならいる。難しいときもあるけど、マッサージで顔つきを整えて直せる。

Q. 死体を扱うの、怖くない? 

A. 気味悪くはならないけど、気持ち悪くなることはときどきある。匂いに負けて部屋から出なきゃいけなかったことは、これまでに数回あった。 

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Q. 幽霊が出たことある? 


A. ううん!心霊体験はしてない。 

Q. 検死中に死体がなぜか上体を起こして、みんなを震え上がらせたって話を聞いたことがあるよ。そういう話を聞いたり体験したことがある?

A. 解剖学の教授から、初めてのエンバーミング中に死体が痙攣した話を聞いた。身を屈めているときに、死体の腕が痙攣して台から落ちて、彼のお尻を叩いたって。全人生であれほど叫んだことは他にないって言ってた。死体がまっすぐ上体を起こした話はないけど。
 
Q. エンバーミングって正確にいうとなに?2週間前に祖父が死んじゃったんだ。すごく元気だったのに、心臓麻痺に陥って。66歳だった。祖父にはどんなエンバーミングがされたのかな?服の下に詰め物がされてたのに気づいたけど、あれって検死解剖でされること?

A. お気の毒に。😞
えぇと、まず最初に、エンバーミングには動脈系への防腐処理用薬液の注入が含まれてる。動脈に薬液が注入されるにつれて、血液は静脈を通じて排出される。腐敗を遅らせることを目的としてる。
次に、その「詰め物」はおそらくコットン。検察医や検死官は解剖中に胴体をY字型に切開する。それを閉じてカバーするのは私たちの仕事。傷を縫合した後にコットンをのせて、血が服に漏れて染みを作るのを防いでる。あなたのお祖父さんを担当したエンバーマーは、たぶんコットンを少し使いすぎたんだと思う。

死体(遺体)の腐敗や変化を薬液の注入により遅延させ、損傷部位を修復することで葬送まで外観や衛生を保つのがエンバーミングの役割である。また、遺体の輸送や葬送を行う施設の順番待ちと言った理由から、遺体保冷庫では時間を賄えない場合にエンバーミングが用いられることがある。国内外への遺体の輸送にエンバーミング処置を義務付けている国もある。
Wikipediaより

Q. エンバーミングされた死体はどれぐらい保存がきくの?


A. それはどのぐらいよくエンバーミングされたかによる。
しっかりエンバーミングされた死体なら、何年も保存できる。そうでないなら、1日かそこらで腐敗が見られる。

Q. 新米病理医だよ。僕らが検死解剖した遺体の「臓器袋(訳注)」はどうなる?
(訳注:検死解剖で取り出された臓器は、体液の漏れ出しを防ぐためにビニール袋にひとまとめに入れられるようです)

A. エンバーマーは胸部の空洞を開いて、臓器を処理する。臓器を薬液、つまりすごく強いホルムアルデヒド混合液に入れる処置もある。「臓器袋」に何が起きるかは様々。ここニューヨークでは単に胴体に戻すだけ。例えば……内臓を所定の場所に配置したりはしない。袋のまま胴体に投げ込んで、押しつぶす。でもイリノイ州では、内臓を袋から出して、胴体に入れて、吸水性のあるおがくずっぽい粉をかける。イリノイ州のエンバーマーたちは、その処置を「ラザニア作り」って呼んでる。

Q. グロい話だけど、どうやって死体から便を除去するんだい?下手したらウ●コまみれになるって聞いたけど。 

A. ウン●する人もいるし、しない人もいる。もしする人なら、うん、きれいにしないと。たいていは出てきたのを拭くだけでいいけど、物凄く最悪なケースだと、お尻用の栓を使うか綿を詰め込む。たしかにグロい話。
一度ウン●が止まらない人がいて、同僚が脚を抱え上げて、台から遺体のお尻を突き出させてる間に、私が文字通りウン●を絞り出したことがあった。 
情報提供、「どういたしまして」。 

└・これが下手な親父ギャグにならなければ、「ホーリーシット!」と言いたい。

Q. 元カレもエンバーマーだったんだけど、通りを歩く人を見て、「彼女は絶対5ヶ所」とか「あの男は1ヶ所で十分だな」とか、薬液を何ヶ所に注射すればいいか言ってたの。あなたたちみんなこんなこと考えてんの?


A. ハハハハハ。うん!たしかにそんな感じで話してる。それにときどき、その辺の人を見て考えることさえある。「わぁ、あの人たち、エンバーミングされるのにすごく向いてる!」みたいに。

Q. どうしてエンバーミングに向き不向きがあるんだい?

A. エンバーミングの際、私は頸動脈(薬液注入用)と頸静脈(血液排出用)を使う。並外れて素晴らしい頸動脈を持った人たちがいる:太くてすごく弾力があって、薬液がしっかり手足に行き渡る。それがうまくいけば、血液が大量に着実に排出されれば、私は彼らを「優秀」だと思う。
一部の人は 「不良」。これにはいろんな意味がある。見つけられないようなすごく細い動脈や静脈をしていたり、排出しない血の塊がたくさんあったり、片手か両手に薬液がよく流れ込まなかったり。
上司にエンバーミングの調子はどうかと聞かれたら、いつも「あー、彼は優秀ですね」とか「彼女は反抗的です。血液を排出してくれません」みたいに答えてて、今じゃそれが誰かについて言うときのクセになってる。

Q. エンバーミングにはどれぐらいの時間がかかる?

A. 「優秀」な遺体なら約1時間以内にエンバーミングできるかも。理想の状態、例えば、大きく変色していない、動脈系が好調、とか。人それぞれだけど。2、3時間かかることもある。検死解剖された遺体の場合は、エンバーマー2人がかりで少なくとも4時間。

Q. どうやってひどい外傷を修復するんだい?頭の陥没とか、皮膚の欠損とか?

A. 私が全世界で最も愛する発明品が遺体用ワックス。すごく簡単に外観をきれいにできる、皮膚色のパテみたいな物質。だいたいのことにそれを使ってる。髪を皮膚に貼り付けたり、火傷や縫合跡をカバーしたり、小さな穴を埋めたり。もっと大きな穴の場合は、バスケットウィーブ縫合をした後に、それを遺体用ワックスでカバーする。

Q. 詳細に立ち入らない程度に、これまでで最も難しかった遺体修復について話してもらえるかな?

A. 車に跳ねられて頭をひどく打ち付けた男性。顔には骨の破片がいくつも刺さっていて、頭の半分は髪が削げていて、頭皮は3つに割れてた。

Q. 棺を開けるように強く言い張った遺族がいた?たとえそれが恐ろしい考えだとしても?

A. 二度。一度は自動車事故。もう一度は階段から落ちた事故。でも両方上手く修復してみせた。

Q. 今までに遺族から受けた一番変なリクエストは?

A. 亡くなったおばあちゃんの足の爪を切って、ジップロックに取っておいてくれないか頼んできた遺族が一度いた。

Q. 遺体の歯から貴金属を取るのってどれぐらい難しいの?頼まれたことある?

A. 一度。一度だけ。私たちが歯を抜けないと言ったら、遺族は遺体を火葬した。金は溶けずに歪むだけだから、遺灰をふるいにかけて回収できる。けど普通のエンバーマーは、貴金属を取るために歯を抜いたりはしない。そんなことしたら「過度の切断」と見なされるかも。

└・なんで歯を抜けなかったの?

 └(OP) やったら不快になったと思う。抜き方は知らないし、大量出血やパージングの危険性もある。

  └・パージングって?

   └(OP) 口から液体が溢れ出ること。原因はいくつかあるけど、一番多いのは下腹部に溜まりすぎたガス。ガスが内臓を圧迫した結果、液体が食道を逆流して口から溢れ出す。もし遺体の歯を抜いたら、血が喉に流れ込む。それは問題ないけど、その血が逆流してくるリスクがある。

Q. 死人って大量出血するの?

A. 死人でも切れば血は出る。血液の凝固作用が起こらなくなってるから、ただ流れ続けるだけ。なんとかして流血を止めなきゃいけない。血液の循環も止まってて、それはプラスに働く。でも例えば腕の下側を切ったり刺したりしたら、重力が傷口から血を引っ張り出し続ける。それにもし血を止められたと思っても、遺体を動かしたら(服を着せたり、棺の中で調整したりするために)、圧力でまた傷口から血が漏れ出すこともある。

Q. 君がエンバーミングした遺体の中で、最も変わった死に方はどんなのだった?

A. (2001年)9月11日のテロで亡くなった男性。遺族は2011年まで引き取りにこなかった。見つかった彼のパーツは11個だけ。一番大きなパーツは大腿骨の半分だった。

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Q. エンバーミングする上で一番好きな遺体は?

A. 検死解剖された遺体がいつも一番のお気に入り。
彼らをエンバーミングするのは楽しい。彼らはとても複雑で。すごく好きな理由は、肉体がどれだけ複雑か私に理解することを強いてくるから。血管がどう機能しているか、より良い理解が得られるし、すごく好奇心をかき立てられる。
 
Q. 君はどうしてその職業を選んだんだい?

A. 子どもの頃の私は、いつも棺に近寄ってのぞき込んで、どうして死体があんなに冷たく固くなるのかを理解しようとしてた。不健全でしょ、わかってる。でも本当の話。死とか、人が死んだらなにが起こるかとか、エンバーミングのプロセスがどんなものかに、ちょっと変わった好奇心をずっと持ってた。
同級生が大学に出願している間、私はどうしたら葬儀屋になれるかを調べてた。二年制の専門大学、国家試験、研修、州の試験。そして今の私がある!同じ業界に家族はいない。

Q. 友達や親族間で、その仕事のせいでなにか偏見に晒されてる?僕はアジアの国の生まれなんだけど、そういう業界で働くと、大抵白い目で見られるんだ。文化的に死は忌まわしいものだと見なされてるせいで。葬儀屋で働いている友人からウェブサイト用写真の仕事を一度頼まれたんだけど、うちの母親はそれに激怒したよ。

A. とても興味深い話。他の文化や、その中の死に関する見方・伝統にはすごく興味ある。私の住んでるところはあんまり文化的多様性がないし。
最初、母にはクレイジーだと思われた。でも今は受け入れてくれてる。というか、むしろ自慢してる。
友達は興味深いと思ってくれてるけど、親しくない人たちには自動的に変人だと思われる。一番大きな問題は、「葬儀ディレクター」と聞いたときにたいていの人が想像するのが、年をとった男性だということだと思う。私は若い女性。だからみんなうろたえるんだと思う。この職業において「標準的」じゃないから。

└・アジアでの偏見に関する素晴らしい日本映画があるよ。『おくりびと』っていうんだ。君も楽しめると思うよ。

Q. 仕事のせいで悲しくなることある?


A. ときどき。でもあんまりない。故人を気の毒に感じたことは一度もないけど。彼らは死んでいて ── 自分たちの身になにが起きたか知らない、もうなにも感じない。私が気の毒に思うのは、後に残された人たち。遺族に悲しみを引き起こされる。

Q. 給料はどれぐらい?まともな給料がもらえてる?

A. うん。手取りで週に600ドル(約6万5千円)。初任給は年4万5千ドル(約490万円)。うちのマネージャーは10万ドル(約1090万円)以上+社用車貸与、携帯支給、社保完備。

└・うわっ、もっと高いと思ってたぞ。 

 └(OP) ううん。でも年の割にはもらってる方だと思う。お金に困ってはいない。

Q. 質問はないよ。ただ君の仕事に「ありがとう」と言いたいだけ。僕らのほとんどにはできないことだから。

A. わぁ、ありがとう!すごくうれしい。逆に私には他の仕事をするなんて想像もできない。

Q. 『シックス・フィート・アンダー』(訳注)のエンバーミングってどのぐらいリアル?ずっとその仕事に就きたいと思ってるんだけど。
(訳注:アメリカHBOで放送された、葬儀屋一家を中心とするテレビドラマシリーズ。アメリカでは土葬の際に地上から6フィートより深く埋葬することになっています)

A. 私に言わせれば、とんでもなく正確。つまり、遺族との関わりはもっと多いけど、全体的に見てあのドラマはすごくよくやったと思う。 
やりなよ!やりがいのある仕事だよ。 




1「ラザニア作り」……(怖)
かなり人を選ぶ職業だと思いますが、彼女はこの仕事を生き生きと心から楽しんでやっているようで、まさに天職といった感じですね


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