「この映画は100%僕がスクリーンに写したいと思っていたものだ」── ジェームズ・マンゴールド監督が新作『ローガン』を引っさげてredditに登場!ゲーム『The Last of Us』との関係、前作での日本ロケの思い出にも言及!

※『LOGAN/ローガン』の内容に関するネタバレはありません。 


元スレ:Hello Reddit! I’m James Mangold, director of Logan. Ask Me Anything!(2017/02/24)

(OP)
やぁみんな。僕はジェームズ・マンゴールド、『ウォーク・ザ・ライン/君につづく道』、『3時10分、決断のとき』、『ウルヴァリン:SAMURAI』そして3月3日(日本では6月1日)劇場公開予定の『LOGAN/ローガン』の監督だ。君たちの質問に答えに来たよ、AMA(なんでも聞いて)!
証明:https://mobile.twitter.com/WolverineMovie/status/834606284120875008
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(以下、『LOGAN/ローガン』は『ローガン』と表記します)

Q. 『ローガン』公開が待ちきれないよ!すごく楽しみにしてる……ヒュー・ジャックマンを一語で表すとしたら、なんと言う?

A. 「Renaissance Man」(ルネサンス・マン)
二語だった。
「Renaissance-mmmuuhh(ルネサンスマァァァ)」(笑)

(訳注:ルネサンス・マン = ルネサンス的教養人:音楽、スポーツ、アート、数学等々、様々な分野に精通した人


Q. ヒュー・ジャックマンは陽光の香りがするって本当?

A. 陽光ってどんな香りだい?

Q. この映画の撮影はどうでした?僕らと同じく、ヒュー・ジャックマンが今後ウルヴァリンを演じないことを悲しんでますか?

A. それはとても複雑な質問だと思う。ストーリーを語るとき、ショーを上演するとき、絵画を展示するときでさえ、しっかり知っておかなければいけないことのひとつは、止め時だ。これが一番難しい。多くの人が、とりわけショービジネスにいる人たちは、賞賛されているものを誰も拍手しなくなるまでやり続ける傾向がある。やめるのがいつも遅すぎる。この役を、パワフルで傷つきやすい演技をやりきってマイクを落とすというヒューの目標は、実に立派だと思う。特に彼がテーブルに金を残していく世界においては。もし金にしか興味がなければ手に入っただろう金だ。これはある意味、僕らが讃えるべき理想主義の一例だ。確かに彼が今後ウルヴァリンを演じないことは悲しい。あのキャラクターが大好きだから。でも同時に幸せな気分にもさせられるよ。あのキャラクターにこんなにも華々しく幕が下りることに。

Q. ダフネ・キーンとの仕事はどうだった?

A. ダフネは俳優・芸術家一家出身の本当に驚くほど大人びた11歳だ。感情的にも身体的にも、自分が持っているものすべてを使ってシーンに入り込む方法を、生まれながらにして知っている。要するに、彼女との仕事は喜びだった。信じがたい才能を持った子で、仕事への驚異的な集中力と途方もない才能、そして身体能力を兼ね備えていた。体を使うシーンの多くを自分でこなしていたよ。

Q. どうやってこのシリーズに参加することになったんだい?『ウルヴァリン:X-MEN ZERO』(ギャビン・フット監督)の評判が芳しくなかったせいで、監督を引き受けるのをちょっと躊躇した?

A. まず初めに、前作は良くなかったとみんなが思っているシリーズに参加するのは、もっとすごく気楽なものだよ。ある意味、それ以上落ちようがないことを知っているから。これはとても魅力的な側面だ。
なんで参加することになったかって?うーん、基本的には、ヒュー・ジャックマンとの長い友人関係と、20世紀フォックスで他に2本の映画を作っていた事実があったから。フォックス経営陣全員と素晴らしい時間を過ごしたよ。彼らに脚本を読んでみるように提案されたんだ。『ウルヴァリン:SAMURAI』の製作には、もう一つ本当に魅力的な側面があった。僕は本当に日本映画の大ファンなんだ。日本でロケする映画を作るチャンスだったし、あの物語自体も、アジアの犯罪映画や侍映画の側面や、その他のとても興味深い側面を作ってみるチャンスを備えていた。
 
Q. 『ウルヴァリン:SAMURAI』が日本を舞台としているところをすごく気に入りました。日本での撮影はどうでしたか?

A. 僕は日本が大好きだし、日本映画が大好きなんだ。少し前に答えたとおり。日本の大都市はあまり撮影に優しくない。交通規制や関係機関からの協力みたいなものは望めないんだ。だから東京ではちょっとしたゲリラスタイルの撮影をしなきゃいけない。ある意味エキサイティングだった。同時に挑戦的でもあった。 ヒュー・ジャックマンとタオ・オカモトが東京の通りを駆け回っているたくさんのシーンは、彼らをバンに乗せて、混んだ通りに飛び出して、人混みを走り抜ける2人をカメラを持って追いかけていたよ。
もし日本を訪れる機会があれば、絶対に東京を離れて田舎を訪れるべきだ。素晴らしいところだよ。あの景観はむしろハワイか、火山のあるタヒチ、もしくは火山島に近い。日本の南は奇跡のような世界だ。一部の町々や漁村はほとんど戦後から変わっていなくて、とても美しい。思わずそういう小さな村々で撮影・滞在してしまったよ。村の沖合では新鮮な鯛が獲れて、それを持ってきて昼食用にさばいて、打ち立ての自家製蕎麦と一緒に料理するんだ。そしてワサビ。ワサビの根っこを持って鮫皮でおろすと、皿の上に新鮮なワサビが現れる。都会の外の文化、日本文化は信じられないほど興味深く、美しい。

(質問者) ずっと日本に行きたいと思ってたんです。あなたの回答が僕がずっと経験したいと思っていたことが実際に存在すると裏付けてくれました。僕はただ、日本の田舎を探索しながら、酒を飲みながら、道に迷いたいだけなんです。

Q. 一番好きなビールは?

A. アサヒ。

Q. 20世紀フォックスにとって莫大な利益を生むシリーズに属するコミック原作映画の監督として、『ウルヴァリン:SAMURAI』と『ローガン』ではどの程度の創作上の自由があった?

A. えぇと、『ウルヴァリン:SAMURAI』ではたくさんの自由があった。でもすでに製作プロセスに入った段階の映画に乗り込んだ形でもあった。スコット・フランクと僕とで脚本を書き換えたけど、それでもすでに走り出した列車に乗り込んだ状態だったんだ、言うなれば。
『ローガン』は白紙の状態から取りかかった。君たちにこの映画を気に入ってもらえたらうれしい。もし気に入ってもらえないなら残念だけど、これが本当に僕がこのキャラクターと探りたいと思っていたものの表れなんだ。ヒュー・ジャックマンに僕がやりたいことを話したら、彼もまたこの映画にとても個人的なものを追い求めていた。
僕は、もし観客にこの映画を気に入られなくても、スタジオを非難することはできないっていう状態になろうとしていたんだと思う。この映画は100%僕がスクリーンに写したいと思っていたもので、誰かに角を丸くされたり、どうカットしろと指示されたものじゃないから。確かにたくさんの素晴らしい協力者たちがいて、みんなこの映画に対して考えや意見を持っていたけど、やりたくないことの無理強いは決してされなかった。


Q. 『ローガン』をR指定にした決定に、あなたはどの程度関係していましたか?レーティングを上げることで、思い通りの映画を撮りやすくなりましたか?

A. R指定映画を作ることはヒュー(・ジャックマン)と僕との揺るぎない約束だった。だからあの映画はR指定された。僕らはスタジオがレーティングを受け入れやすくするために、彼らに制作費を安くあげられるだろうと言ったんだ。
(訳注:ヒュー・ジャックマンは『ローガン』をR指定映画にするために自らの出演料を減額しました)

Q. 『ローガン』をR指定にするのは難しかった? 

A. いや、スタジオは僕らが違うものを必要としてることをよく分かっていたと思う。当時僕らもスタジオも、『デッドプール』が成功を収めようとしていること、他の映画 ── 他のコミック原作映画や主力映画たちが少し干からびて古くなり始めていることを感じていた。それで全員一致で何か違うものに挑戦すべきという結論に達したんだ。

関連記事:【ゾンビランド】記録的大ヒット映画の脚本家コンビだけど、なんか質問ある?【デッドプール】

Q. 映画制作のプロセスの間、熱烈な原作ファンたちからの期待になにか影響を受けた? 

A.  あぁ、彼らの期待には確かに影響されたよ。でもときどき彼らの期待と要求は矛盾したもので、自分で選択しなきゃいけないことに気づくんだ。最終的には自分の直感を信じなきゃいけなくて、いつも誰かを怒らせることになる。少なくとも自分を満足させていれば、夜眠れるよ。

Q. 『ローガン』のスタイルやトーンに影響を与えたものはなんでしたか?というのも、コーマック・マッカーシーっぽさ、少なくともコーマック・マッカーシー原作映画っぽい雰囲気を感じたんです。(『ノーカントリー』や『ザ・ロード』みたいな)

A. えぇと、君の所見はとても正確だ。マッカーシーっぽさというのはある意味、とても近代的で、荒涼とした、男性的な、西部の、暴力的な雰囲気に名前を与えるすごく良い方法だと思う。かなりのお世辞でもあるよ。僕は大のコーマック・マッカーシーファンだから。

Q. 『ローガン』のエンドロール後シーンの有無について対立する報道が流れてるけど、あるの?ないの?あるなら、なんで批評家たちは無いバージョンを見たって言ってるの?

A. エンドロール後のシーンは無いから。それが批評家たちが無いのを見た理由。

Q. 『コップランド』の大ファンだよ。シルヴェスター・スタローン、ロバート・デ・ニーロ、ハーヴェイ・カイテル、レイ・リオッタに自分が書いたキャラクターを演じさせるのってどんな気分?他にもあのキャラクターたちを演じて欲しかった俳優がいた?

A. あぁ、実は。少しの間、ボブ(ロバート)・デ・ニーロはスタローンのキャラクターを演じることを熟考していた。彼はハーヴェイ・カイテルのキャラクターを演じることも検討していたよ。あの映画でどの役を演じるか決めかねていた感じだった。
彼らの他にジョン・トラボルタにも一度会ったよ。製作の初期に。『パルプ・フィクション』の公開直後だった。それにスライ(シルヴェスター・スタローン)が決まる前に、とても辛い瞬間があった。スライの演じたフレディ・へフリン役を、ゲイリー・シニーズにオファーして断られたんだ。

(質問者) すごい!回答してくれてありがとう。:)
ゲイリー・シニーズでも素晴らしい演技をしたかもしれないけど、スライはものすごい演技をしたよ。おそらく彼がいつもやってるアクション映画から離れた、一番地に足のついたキャラクターだね。

Q. これまで経験した中で、最も肉体的or精神的に厳しかった撮影は?

 
A. 『3時10分、決断のとき』は肉体的にとても厳しい映画だった。強風の吹く0°F(約17℃)以下の屋外で作業した。映画を見てもあまりわからないかもしれないけど、俳優たちは2°F(約−16℃)の中演技をしていたんだ。信じられないぐらい寒くて、彼らがテイクの間に駆け込む暖かいテントを用意していたけど、映画を撮るには過酷すぎる気候だった。

Q. まだ撮ったことがないけれど、今後やってみたいジャンルがありますか?一番好きなジャンルはなんですか?

A. まだ撮ったことがないジャンルはいくつかあるよ。ミュージカルはまだ作ってない。SFもまだだね。『ローガン』にSFの側面があると思う人がいるかもしれないけど。警察映画か犯罪映画もまたぜひ撮りたい。
僕にお気に入りのジャンルがないことは、映画製作歴から明らかだと思う。これまでひとつのジャンルに腰を落ち着けてるように見えないから。

Q. 『The Last of Us』を映画化してくれない?

A. すごいのは、この映画を仕上げて編集した後ずっと、『The Last of Us』がなんなのか僕は全く知らなかったことだよ。ポストプロダクションの段階でスチル写真を公開し始めて、『The Last of Us』と明らかに似ていると言われていることに気づいたんだ。そのとき初めて『The Last of Us』がなんなのか見つけ出した。さらに言うと、すごくクールなゲームだ。『The Last of Us』を映画化したいか?うーん、おそらくたしかに、この2つのプロジェクトには偶然なトーンの類似性がある。でも本当のトーンの共鳴はない。だから『The Last of Us』の映画化にそれほど興味をそそられるかどうかはわからない。でもあのゲームをとても楽しんでプレイしたよ。



(OP)
みんな、素晴らしい質問をありがとう!もっと回答できたら良かったんだけど。今から大きな試写会に行くんだ。この映画へのエネルギーと興奮を感じられてとても嬉しかったよ。僕らは『ローガン』が認められ、立場を得るために力を尽くそうとした。僕らのやったことを気に入る人もいるかもしれないし、気に入らない人もいるかもしれない。僕にとって大事な点は、唯一の見解を表現するほうが、万人向けの小品のあるビュッフェを作るだけより良いってことだ。とは言え、僕らが出した料理を楽しんでもらえると嬉しいよ。


1たしかに『The Last of Us』はパッと見良く似てますよね。そして監督の日本食描写にお腹が空きました……
『LOGAN/ローガン』は6月1日(木)から日本公開です!

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