Crowd and Stage
今回はアメリカのロックバンド、The Presidents of the United States of Americaの元メンバーであるデイヴ・ディディラーさんが4年前に行ったAMAです。
元スレ:「500万枚以上レコードを売上げ、グラミー賞を2度逃したロックスター崩れだけど、なんか質問ある?
デイヴ・ディディラー。The Presidents of the United States of Americaの結成メンバーだ。数年前にバンドを辞めたけど、ビジネスは手伝ってる。最近だと、他にnuTsie.comの立ち上げもやっているよ。
nuTsieのWebディベロッパーの1人がRedditの大ファンで、彼に「みんないくつか聞きたいことがあるだろうから、AMAをやってみたら?」って提案されたんだ。

↑日本について歌った歌「Japan」↑
The Presidents of the United States of America、通称PUSA、The Presidents、あるいはPot USAは、グラミー賞に2度ノミネートされたアメリカのロックバンドである。1993年に米国シアトルにて結成。ボーカル兼"ベーシタリスト(訳注1)"のクリス・バーロウ、ドラマー兼ボーカリストのジェイソン・フィン、"ギタべーシスト(訳注1)"兼ボーカリストのアンドリュー・マッキーグで構成される3ピースバンドである。"ギタべーシスト"兼ボーカリストだったデイブ・ディディラーは結成から11年後の2004年に脱退した。
米国版Wikipediaより翻訳
訳注1:ベーシタリストとギタベーシストとは、それぞれ通常のボディに、ベースの弦2本(通常4弦)、ギターの弦3本(通常6弦)を張った楽器の演奏者のこと


↑1997年にグラミー賞にノミネートされた代表曲「Peaches」。「田舎に引っ越して、いっぱい桃が食べたいな〜♪」という内容の歌ですが、なぜか終盤で日本の●●が登場……↑

Q. 僕は15歳のときにPUSAのCDを見つけた。僕にとって初めての車である、1997年式フォード・サンダーバードを5,000ドルで買って、それを隅々まで掃除してたときに、CDがシートの間に挟まっているのを発見したんだ。車の元オーナーに返そうか考えたんだけど、聴いてみたら返せなくなっちゃったんだよね。

A. この話は最高だ。サンダーバードの中で見つけられたってのが気に入ったね。

Q. ツアーをやってるミュージシャンって、何度も同じ曲をやってて飽きないの?


A. それはないよ。特に「Lump」(訳注2)はね。毎日、毎ステージ、同じってことはないから。観客も変わるし。
訳注2:PUSAの代表曲のひとつ。

Q. バンドのメンバーだったときに起こったクレイジーな出来事を教えてくれる?

A. ある冬の夜、午前2時頃に、ドイツのハンブルグから引き揚げるツアーバスの寝台のひとつに、裸の女が忍び込んでいた。俺たちは氷点下の暗闇の中、裸の女を道端に置き去りにした。

 ┗・そりゃちょっと糞野郎みたいな行為じゃないか?

  ┗(デイヴ)あの時はそうするしかなかったんだ。どうやったのかわからないけど、その女はライブ中にバスに忍び込んでたんだ。俺たちはホテルでバスに乗り込んで、次の街まで夜中に移動するんだけど、駐車場から引き揚げると同時に、彼女はどこからともなく現れたんだ。ぞっとするような感じの女だったよ。あと、立ち去る前に彼女の服を持たせたと思う。
まぁロックバンドの多くが糞野郎だよ。俺らはそうじゃなかったと言えるけど。

Q. 小学生の頃、誰かが僕に"The Presidents of the United States of America"って誰か知ってるか?って聞いたんだ。僕は、「ジョージ・ワシントン、エイブラハム・リンカーン……」って"アメリカ合衆国の大統領たち"の名前をあげ始めた。みんなに笑われたよ。僕に負け犬の気分を味わわせてくれて、どうもありがとう!

A. それが俺の仕事だからな。

Q. グラミー賞を逃した候補者たちは、それを"負け"だと思ってるの?個人的に、候補者と受賞者がいるだけで、敗者はいないと思ってるんだけど。

A. ビートルズとニルヴァーナに負けたんだから、まぁいいよ。

訳注:ニルヴァーナとは第38回の最優秀オルタナティブ・ミュージック・パフォーマンス賞で、ビートルズとは第39回の最優秀ポップ・パフォーマンス賞デュオ/グループ部門で競って受賞を逃しています。

Q. グラミー賞を取ることは、君にとって大事なことだった?

A. グラミー賞を取ることの利点は、受賞後数ヶ月間はクソみたいにレコードが売れるってことだけさ。

Q. (要約)バンドをやってるんだ。メンバーは楽器の才能も曲作りの才能もあると思う。でも問題は、いいボーカルがいないってことなんだ。どうしたらいいかな?

A. 99%の人間は、ボーカルの声と、メロディーと、歌詞しか聴いちゃいない。それを得られなきゃ、そこまでって話だよ。

 ┗・(要約)僕もバンドをやってるんだ。最高のタイミングでいいアドバイスをありがとう。ずっとニューシングルのために楽器パートをミックスさせようとしてたんだけど、上手く行かなくて……ボーカルを先に考えれば良かったんだ!横っ面をひっぱたかれたよ。ついに自由だ!

  ┗(デイヴ) 各パートをミックスさせるかなり楽しい方法を教えよう。
  • まず真っ先にボーカルを録音しろ。それだけ聴いても良いぐらいに。
  • 次はドラムだ。もしそれが良い曲でグルーヴィーなら、ミックスはこの時点でかなり説得力のあるものになっているはずだ。
  • それからベースを入れろ。もしボーカル、ベース、ドラムの3つが良い感じに聴こえないなら、その曲は永遠にダメなままだ。
  • 最後に、役立たずで意味の無いものをいれるんだ。ギターとかキーボードみたいな。
Q. レコード1枚当たりいくら稼げるの?バンドでいくら儲けた?バンドメンバーは儲けを均等に分けてるの?

A. 定価の12%〜16%、それにレコード1枚当たり著作権使用料0.75ドル〜1ドル。だからレコード1枚当たり2ドルってとこだったかな。その後マネージャーに手数料を取られて、分割されて、さもなきゃ減額されて手元に来るって寸法だった。
レコード会社はCD1枚当たり5〜8ドル取ってたから、ソニーは俺たちでかなり稼いだな。

Q. 違法ダウンロードについてどう思う?


A. ミュージシャンに違法ダウンロードについて尋ねることは、船乗りに悪天候についてどう思うか聞くようなもんさ。
俺が過去に違法ダウンロードしたことがある曲は、自分のバンドのものだけだよ。真面目な話。

Q. ライブの名声とかファンから得られる「愛」とか、そういうもの全てから離れてみてどうだった?慣れるまでに時間がかかった?


A. 時間はかかったよ。ロックスターでいるっていうのはこういうことさ。想像してみろ。
「四六時中自分の後を追ってきて、どれだけ愛してるか伝えてきて、いつでも咥えてくれて、おまけにポケットに1,000ドル札をひっきりなしに捻じ込んでくる、世界で一番セクシーな若い女を手に入れた状態」を。

 ┗・俺は職業選択をミスったようだな。くそっ。 

Q. 自分が抜けた後のバンドが作ってる音楽をどう思う?

A. 素晴らしいね。ライブにおいてもスタジオにおいても、未だ素晴らしいバンドだ。1枚目のアルバムと同レベルのクレイジーさはないけど、長期間それを維持しつづけるのは、どのバンドにとっても難しいことだからね。

Q. バンドを辞めたことを後悔することはある?

A. 今のところないな。数週間前、一緒に数曲プレイしたんだ。楽しかったよ。けどもう一度バンドをやりたいとは思わなかった。

Q. どうして自分のことを過去のもの扱いするんだい?もう音楽はやらないの?

A. 時として、自虐ネタはセラピーになり得る。

 ┗・君はいまだにスターだよ。
 ┗・僕は決して君のことを「過去のロックスター」なんて呼んだりしないさ。

Q. ロックスターでいる間やツアー中で、最悪なのってどういうところだった?

A. ただ転々としてるところさ。……何とも、誰とも繋がりを持たずに……

Q. どうして辞めちゃったの?それに自分のことを「ロックスター崩れ」って……それってちょっと卑屈な感じじゃない?自分のことをどう思ってる?君の人生最高の瞬間は、過去にあると思ってるの?

A. ロックバンドとツアーをすること、そしてロックスターでいることは、明らかに俺の人生において最高の時間ではなかったよ。人は自分が望む物に対しては慎重であるべきだ

Q. 以前のロックスター生活はどうだった?MTVでヘビーローテーションされていた日々と同じくらい、今も幸せだって言ってほしいな。今の好きな時間の過ごし方はなに?

A. ロックスター生活ってのは、鮮烈で曖昧なものさ。昔より今のほうが幸せだよ。
好きな時間の過ごし方の大部分は、家族と一緒にいることだ。それからクリエイティブな何かを行うこと。バイクに乗ったり、テニスをしたり、スキーに行ったりすること。家の庭の手入れをすることもだね。



040241脱退というより、いわゆる「卒業」というやつでしょうか。
夢を叶えて華々しい生活を送っているように見えるロックスターたちですが、デイヴさんにとっての幸せはそこには無かったんですね……。
自分にとっての幸せを見失わずに生きたいものです。

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